偽物のブランド品は買取してもらえる?本物か分からない品の査定と売る前の注意点

偽物のブランド品と買取の考え方。偽物と判断された品は買取不可が原則で、知らずに査定に出した場合と偽物と知って売る場合の違いを示した図解

偽物と判断されたブランド品は、買取店では原則として買い取ってもらえない品です。査定で偽物の疑いが出ると、理由を詳しく告げられないまま「買取不可」として返されることが多く、断られたことが偽物と確定したことを意味するわけでもありません。偽物と知らずに査定に出しただけで罪に問われることは通常ありませんが、偽物と知りながら本物として売ると、詐欺や商標権の侵害に問われるおそれがあります。

「母から譲り受けたバッグ、本物かどうか分からない。もし偽物だったら、買取店に持っていった時点で何か問題になるのかな。」

もらい物や形見の品、中古で手に入れた品、海外の通販サイトで買った品。手元のブランド品が本物かどうか分からないまま、売るかどうか迷っている人は少なくありません。偽物だったら恥ずかしい、責められるのではないか、という不安から、査定に出すこと自体をためらう人もいます。

この記事では、偽物の疑いがあるブランド品を買取に出したときに何が起きるのか、知らずに持ち込む場合と知っていて売る場合の違い、本物か分からない品を確かめる手順、手放す前に守りたいことを、売る前に確かめる順番で整理しました。

この記事の前提

本記事は、偽物の疑いがあるブランド品の売却について、一般的な扱いと法令の考え方を整理したものです。法的な判断は個別の事情によって変わるため、具体的なトラブルについては弁護士などの専門家にご相談ください。買取の受付条件は買取店ごとに定められているため、各店の公式案内もあわせてご確認ください。

執筆・監修者コメント

藤井 舞子 経済ジャーナリスト

駅前の買取店で話を聞いていると、査定のあとに「申し訳ありませんが、こちらはお取り扱いできません」とだけ告げられ、理由を聞けないまま店を出ていく人を見かけることがあります。本人は偽物と言われたのかどうかも分からず、困った顔で品物を見つめています。買取店が真贋について多くを語らないのには理由があり、その理由を知っておくと、断られたあとに何をすればよいかが見えてきます。

この記事の結論

  • 買取の扱い:偽物と判断された品は買取不可が原則。理由は詳しく告げられないことが多いです
  • 知らずに出した場合:査定に出しただけで罪に問われることは通常ありません。偽物と知りながら本物として売るのは別の話です
  • 本物か分からない品:入手経路と手元の手がかりを整理してから、査定で確かめます
  • 海外通販の品:海外事業者から送られる模倣品は、個人で使う目的でも税関で没収の対象です
  • 断られた品:フリマアプリやネットオークションに回さず、本物かどうかの確認を優先します

偽物と判断されたブランド品は買取不可が原則 ── 査定で疑いが出たときの扱い

偽物と判断されたブランド品は買取店では原則として買い取ってもらえず、査定で偽物の疑いが出た品は、理由を詳しく告げられないまま買取不可として持ち主に返されるのが一般的です。本物と確認できない品を買い取ることは、店にとって偽物を流通させる危険を抱えることになるためです。

査定の結果ごとに、扱いの目安を整理しました。

査定の結果と、買取での扱いの目安

査定の結果 店の対応の目安 売り手が次にすること
本物と確認できた 状態や付属品をふまえて査定額が提示される 金額に納得できれば、身分証を提示して売買を成立させる
店の基準では判断しきれない 買取不可、または確認材料がそろうまで保留とされることがある 購入時の書類や付属品を探し、別の店でも査定を受ける
偽物の疑いが強い 理由を詳しく告げずに買取不可とし、品物を返す ほかの方法で売ろうとせず、入手経路を振り返る

※ 一般的な傾向を整理したものです。対応の仕方は買取店ごとに異なります。

理由を詳しく告げられないことが多いのはなぜか

買取店は、ブランドの権利者として真贋を公式に認定する立場にはありません。店が行っているのは、自社の基準に照らして「買い取れるかどうか」の判断です。そのため、本物ではないと断言する言い方を避け、「お取り扱いできない」「査定の基準を満たしていない」といった表現で断ることが多くなります。

どこを見て判断したかを細かく説明しない店が多いのは、見分けるポイントが外に広まると、偽物を作る側に手がかりを与えてしまうためでもあります。

「買取不可」は偽物と決まったことを意味しない

買取を断られる理由は、真贋だけではありません。次のような事情でも、買取不可や保留になることがあります。

  • 店の取扱い対象外:そのブランドや品目を扱っていない、または販路を持っていない
  • 状態の問題:破損や劣化が大きく、売り物として再販しにくい
  • 修理や改造の跡:ブランドの正規の修理以外で部品が交換されていて、本来の状態を確かめにくい
  • 確認の材料が足りない:刻印やシリアルが読み取れない、付属品と本体の情報が一致しないなど、判断の材料がそろわない

1つの店で断られたからといって、偽物と決めつける必要はありません。判断の基準や得意な品目は店ごとに違うため、別の店で査定を受けると結果が変わることがあります。

「偽物だけど安くなら買う」と持ちかけられたら

査定の場で「これは偽物ですが、安い金額でよければ引き取ります」と持ちかけられた場合は、その話自体を警戒してください。偽物と判断した品を買い取ることは、店にとって偽物を流通させる危険を自ら抱える行為です。本物の品を偽物と言って安く買いたたく口実になっている可能性もあります。

その場では売らずに品物を持ち帰り、本物かどうかの確認を優先します。自宅を訪れた業者から同じように持ちかけられた場合の考え方と、訪問による買取の制度は、ブランド出張買取を比較した記事で解説しています。


偽物と知らずに持ち込むのと、知っていて売るのは別の話 ── 商標法と詐欺の考え方

偽物と知らずにブランド品を査定に出しただけで罪に問われることは通常ありませんが、偽物と知りながら本物として売れば詐欺に、偽物を繰り返し売ったり売るために持っていたりすれば商標権の侵害に問われるおそれがあり、分かれ目は「偽物と知っていたかどうか」と「売り方」にあります。

状況ごとの法的な考え方の目安

状況 考え方の目安
本物と信じて査定に出し、偽物の疑いを指摘された 罪に問われることは通常ない。指摘を受けた後の行動が問題になる
偽物と知りながら、本物として売った 相手をだまして代金を受け取れば、詐欺罪に問われうる
偽物を繰り返し出品した、売るために持っていた 商標権の侵害に当たるおそれがある。売る目的での所持も侵害とみなされうる
偽物と知ったうえで、自分で使い続ける 個人で使うだけであれば、商標権の侵害にはならないと考えられている

※ 一般的な考え方を整理したもので、個別の事案での法的な判断を示すものではありません。

商標法 ── 登録商標を使えるのは権利者

商標法は、登録された商標を指定の商品に使う権利を、商標権者が独占することを定めています(第25条)。ブランドのロゴや名称を無断で付けた偽物を売ることは、この権利を侵害する行為にあたります。さらに第37条は、登録商標が付いた商品を売るなどの目的で持っている行為も、侵害とみなすと定めています。侵害には刑事罰の規定もあります。条文はe-Gov法令検索の商標法で確認できます。

商標法が対象とするのは、商標を「業として」使う行為です。手元の1点を一度売るだけの個人がすぐに侵害にあたるとは限りませんが、フリマアプリなどで繰り返し出品していれば、業として売っていると見られるおそれがあります。

詐欺 ── 本物と偽って代金を受け取る

偽物と知りながら、本物であるかのように相手に伝えて代金を受け取れば、刑法の詐欺罪(第246条)に問われうる行為になります。相手が買取店でも個人でも、だまして代金を受け取る構図は変わりません。

ポイント

「知らなかった」が通用するのは、偽物の疑いを知る前の行動までです。買取店で断られたり、偽物の疑いを指摘されたりした後に、同じ品を別の場所で本物として売れば、知らなかったとは言いにくくなります。疑いが出た時点で、売り方を見直す必要があります。


本物か分からないブランド品は、入手経路と手がかりを整理してから査定へ

本物か分からないブランド品は、自分で真贋を決めつけずに、どこでどう手に入れた品かを整理し、購入時の書類や付属品などの手がかりをそろえたうえで、買取店の査定で確かめるのが確実です。入手経路によって、手元に残りやすい手がかりと、注意すべき点が変わります。

入手経路ごとの手がかりと、査定前にしておくこと

入手経路 手元に残りやすい手がかり 査定前にしておくこと
ブランドの直営店・正規販売店で購入 レシート、保証書やギャランティカード、箱・保存袋 購入時の書類と付属品を一緒にそろえる
中古品の販売店で購入 購入時のレシートや納品書、店の保証書 どの店で買ったかが分かる書類を探す
贈り物・家族から譲り受けた 付属品が残っていることがある 贈り主に購入先を確かめられるなら確かめておく
相続・遺品整理で出てきた 購入時の情報が分からないことが多い 付属品を一緒に探し、分からないことは分からないと伝える
海外の通販サイト・個人間取引で購入 注文履歴や取引のやり取り 相場より極端に安く買った品は、偽物の可能性を念頭に置く

※ 一般的な傾向を整理したものです。手がかりがそろわなくても、査定を受けることはできます。

査定では本体と付属品の両方が見られる

買取店の査定では、素材の質感や縫製、刻印やシリアルの形式、ロゴの形などの本体の特徴と、付属品の情報が本体と一致しているかが確かめられます。付属品は真贋を保証するものではありませんが、来歴を示す材料になります。付属品の種類ごとの役割は、ブランド品の付属品と買取を整理した記事で解説しています。

海外通販で買った品は特に慎重に

2022年10月から、海外の事業者から郵便などで日本に送られてくる模倣品は、個人で使う目的であっても輸入できなくなり、税関で没収の対象になりました。正規品よりはるかに安い価格で海外の通販サイトから届いた品は、偽物である可能性を念頭に置いておく必要があります。制度の内容は、税関の「模倣品の水際取締り強化」の案内で確認できます。

この扱いは、海外の事業者から送られてくる模倣品の輸入についてのものです。手元にある品が本物かどうか分からないこと自体が、問題になるわけではありません。

自分で真贋を決めつけない

インターネットには、ブランドごとの見分け方の情報が数多く出回っています。ただし、製造の時期やラインによって刻印や仕様が異なることもあり、一部の特徴だけで本物か偽物かを決めるのは危険です。本物を偽物と思い込んで処分してしまうこともあれば、その逆もあります。判断は、査定を受けて確かめるのが確実です。

執筆・監修者コメント

藤井 舞子 経済ジャーナリスト

遺品整理の時期に駅前の店先で話を聞くと、「どうせ古いし偽物かもしれない」と言いながら持ち込まれたバッグが、査定で本物と分かることもあると聞きます。逆に、贈り物だから本物のはずと信じていた品が、店の基準を満たさないこともあります。どちらの場合も、持ち主の思い込みより、手がかりを並べて査定に出すほうが確かです。分からないことを分からないと伝える人のほうが、査定の場でも話がこじれにくいように見えます。


偽物の疑いがある品を手放す前に守りたいこと ── 売り方を誤らないために

偽物の疑いがあるブランド品を手放すときは、本物と言い切って売らず入手経路を正直に伝えること、買取店で断られた品をフリマアプリやネットオークションに回さないこと、偽物と分かった品は売ったり譲ったりせずに扱うことが大切です。

  • 本物と言い切らない:本物かどうか分からない品は、分からないまま査定に出します。入手経路を聞かれたら、知っている範囲で正直に伝えます
  • 断られた品をほかの売り場に回さない:大手のフリマアプリやネットオークションの多くは、偽物や正規品と確認できないブランド品の出品を禁止事項として定めています
  • 購入時の書類を手元に残す:レシートや納品書は、後から入手経路を説明する材料になります
  • 売買のあとの取り決めを確かめる:買い取った後に偽物と分かった場合の代金の返還を、利用規約などで定めている店もあります

売るときに提示する身分証と、買取店が売り手を確認して取引を記録する仕組みは、ブランド品の買取に必要なものを整理した記事で解説しています。

偽物と分かった品の扱い

偽物と分かった品は、売ったり人に譲ったりしないのが原則です。自分で使い続けるか、手放す場合はお住まいの自治体の区分に従って処分します。複数の店で断られて判断に迷うときは、品物を手元に置いたまま、購入先に問い合わせることも検討してください。


偽物のブランド品と買取のよくある質問

Q偽物のブランド品は買取してもらえますか?

偽物と判断されたブランド品は、買取店では原則として買い取ってもらえません。査定で偽物の疑いが出ると、理由を詳しく告げずに買取不可として品物が返されるのが一般的です。ただし、断られた理由が真贋とは限らないため、断られたことだけで偽物と決めつける必要はありません。

Q偽物と知らずにブランド品を買取に出したら罪になりますか?

本物と信じて査定に出しただけであれば、罪に問われることは通常ありません。ただし、偽物の疑いを指摘された後に、同じ品を別の場所で本物として売れば、知らなかったとは言いにくくなり、詐欺などに問われるおそれが出てきます。

Q買取を断られたら、そのブランド品は偽物ということですか?

買取を断られたことは、偽物と確定したことを意味しません。店の取扱い対象外である、状態が悪い、正規以外の修理の跡がある、確認の材料が足りないといった理由でも断られることがあります。判断の基準は店ごとに違うため、別の店で査定を受けると結果が変わることがあります。

Q本物か分からないブランド品はどうすればいいですか?

本物か分からないブランド品は、自分で決めつけずに、入手経路を整理し、購入時の書類や付属品をそろえたうえで買取店の査定を受けて確かめるのが確実です。査定では本物かどうか分からないことを正直に伝え、本物と言い切って売らないようにします。

Q買取店で断られたブランド品をフリマアプリで売ってもいいですか?

買取店で偽物の疑いを理由に断られた品は、フリマアプリやネットオークションで売らないでください。大手のフリマアプリの多くは、偽物や正規品と確認できないブランド品の出品を禁止しています。偽物と知りながら売れば、詐欺や商標権の侵害に問われるおそれもあります。


まとめ ── 偽物の疑いは「確かめる」、分かったら「売らない」

偽物と判断されたブランド品は、買取店では原則として買い取ってもらえません。査定で偽物の疑いが出ると、理由を詳しく告げられないまま買取不可として返されることが多い一方、断られた理由は真贋に限らず、別の店で結果が変わることもあります。

偽物と知らずに査定に出しただけで罪に問われることは通常ありませんが、偽物と知りながら本物として売れば詐欺に、繰り返し売ったり売るために持っていたりすれば商標権の侵害に問われるおそれがあります。本物か分からない品は、入手経路と手がかりを整理して査定で確かめ、偽物と分かった品は売ったり譲ったりしないことが大切です。

本物と確認できた品をどこに売るかは、店の業態によって得意な品目や査定の進め方が違います。複数の店で査定を受けるときの選び方は、ブランド買取のおすすめを比較した記事で確かめてください。

この記事を書いた人

藤井舞子

藤井 舞子経済ジャーナリスト(駅前商業・地域経済)

全国の主要駅周辺を歩き、買取店の立地と商圏を取材している。著書に『駅前商業とリユース市場』『首都圏・関西・中京の買取商圏地図』など。

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